第69回 ふられた者同士?!
不思議なもので、本当に驚くと言葉がでない。そして、現実を受け止めるのに時間がかかってしまう。
困惑した表情の私たちを見て、切ない笑みを浮かべるヨガ講師に、胸がキュンとして我に返った。
彼の高校時代からの友人がオーナーのカフェレストランのレセプションパーティーで、
「ヤツのこと、よろしくお願いしますね。レイさんだったら、変えられるかもしれないな」と言われ、
そんな意味深発言に背中を押され、告白してフラれたことを思い出した。
あの時、過去の恋愛へのトラウマや女性不審があるのかな?って、勝手に決めつけていたけど・・・
そっか、このことだったんだ!
もしかしたら彼自身、自分を変えたかったのかもしれない。
だから、『特別な感情を持てるかもしれない』って思いながら私に接していたのも嘘ではないはず。
さっき、この言葉を聞いた時は、『失礼なヤツ!』って思ったけど、理由を知ったら、なんだか少し嬉しいような・・・複雑な気持ち。
そんなことを考えながら、今にも泣き出しそうで物憂げな横顔をみていたら、切なさが伝わって、
思わず、マスターに、「で、あんたはどうなのよっ!」と、まるで女友達をかばうかのように、強い口調で問い詰めていた。
「おい、レイ・・・」と、それ以上つっこむなよ!と言いたげな目で私をにらみ、話をさえぎる。
すっかり遠い昔の記憶になっていたけど、マスターは、私の友人の元だんな。
女好きで、離婚の理由もそこらへんにあるような、いたって普通の男?!だった。
「あっ、わるい!」と小声で、マスターに目配せをし、彼の方へ向きをかえ、
「コイツさぁ、女たらしで若い子好き。離婚したのもコイツの浮気が原因だし、最低の男だよ。」
「そこまで言うかな・・・だけど、もう1つ、『巨乳好き』を忘れているぜ。ははは・・・」
「何それ!つまんない冗談。」いつもなら笑いになるけど、相手が相手だけに、シャレにならない!
「じゃあ、そんなデリカシーのないヤツのおごりということで!今日はとことん飲もうっ!」
と、彼に向かってグラスを差し出し、
「ふられた者同士、乾杯!」って、あれっ?!私ったら、なに言っちゃってるんだろう(苦笑)
memo
何でも一生懸命、強くたくましく…でもどこか弱い…。
40才を目前に、女の幸せって?きれいな人って言われるには?などと日々奮闘するレイちゃん。もしかしたら、あなたの近くにレイちゃんがいるかも…。